パステルのなめらかプリンが呼び覚ます記憶

過去の記憶を強く思い起こさせるもの、プルーストのマドレーヌ。

なめらかプリンで思い出す情景がある。

20年ほど前、友人が手土産に買ってきてくれて私の家で食べていた時のこと。

恵比寿の行列のできるプリン店の話から唐突に彼女が言った。

「好きな人がいるの。あなたのご主人と同じ車に乗ってるの」

「奥さんとうまくいってなくて別れて私と一緒になりたいって」

私は似合わないという言葉をプリンと一緒に飲み込んだ。

口の中で消えていく甘い香り。

 繊細だからこそ独身だった彼女にハードルの高い恋愛だった。

そして結局うまくいかなかった。

 

月日が経ち彼女は最近、病で亡くなってしまった。

彼女は友達が多くてたくさんの人を繋いでくれていつも笑いの中心にいた。

たくさんの人に必要とされたのに一人の異性との関係は苦手だったのかな。 

 失った日よりも誕生日を 憶えていたい。

出会えたことに感謝しているから。